湊かなえ 「告白」はどうだ?

この本、気になっておりました。

告白

告白

衝撃的な第一章から一気に引き込まれ、「えっ!?」という驚愕のラストまであっという間でした。
おもしろかったです。ですが、何かがひっかかる。


※この先、この作品が大好きと言う方と、これから読もうと思っている方は読まないほうが良いかもしれません。


後味が悪いだろう事は帯を見ただけで予想がつきます。こんな話、どうやっても心温まるラストになるわけがありません。
では社会に対しての問題提起なのでしょうか?導入はそうかとも思いましたが、ラストまで読むとどうにもそんな風にも思えません。と言うのも、キャラクターがすべて極端すぎるのです。言葉を悪くすればキチガイしか出てきません。どいつもこいつも、最初はちょっと問題を抱えた不安定な人物ぐらいの登場の仕方なのですが、だんだんとその化けの皮がはがれていきます。極端なキャラクターたちが極端に関わりあった上での極端なラストです。こんなものにどう共感すれば良いと言うのでしょうか?(もちろん、だからこそ予測不能でおもしろい、という側面もありますし、小説のおもしろさとキャラクターへの共感とは別物であるかもしれませんが)


デビュー作にしてこの完成度!とか、読み出したら止まらない!とか言うアオリ文句はウソでは無いと思います。


ですが、すばらしい物語!とか、最高の小説!とか言うような絶賛の仕方はどうかと思います。



読後に気づいたのですが、本屋大賞を取ったということですが、私には少々残念なことに思えます。
本屋大賞をとった作品は毎年楽しみに読んでおりますが、さすが、というものが多い気がします。
今回は、正直これはちがうだろう、と初めて思ってしまいました。あくまで個人的感想ですが。


今までの大賞作品は、すべて、おもしろいのはもちろんですが、それプラス何かがあったが気がします。
単純に、泣ける、とか、感動する、とか言うものだけではなく、何度も読み返したい、であるとか、たくさんの人に勧めたい、であるとかこれまでの大賞作品からは自分はそういうものを受け取っていたのですが、この「告白」に限っては読み返したいとも思いませんし、積極的に人に勧めたいとも思いません。(単純におもしろいエンタテインメントが読みたい方ならありかもしれませんが)


なんだかこの作品を好きな人にとっては嫌な文章になってしまったかもしれません。
不快な思いをした方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。


読んでる間はおもしろかったんですけどねえ。いろいろいらんことを考えすぎかもしれませんが。


ではまた。