冲方丁 「天地明察」

天地明察

天地明察

あしたのジョーには数々の名シーンがありますが、私が一番好きなのはぼろぼろになったジョーが草拳闘に身をやつしているところだったりします。


落ちるところまで落ち込んだシーンをこれでもかというぐらいまで見せておいて、さあ、どうして立ち上がる?作家にしてもそこが勝負であると思います。
説得力と、カタルシスと、読んでいる読者の胸にも新たな炎を焚きつけるパワー。そこで火が点けば後は一気にラストまで。


まんが、アニメ、映画、小説にかかわらず、私の大好きな物語には必ずそういったシーンがあるような気がします。


そういったわけでこの本も、あふれるやる気で快進撃を続けていた春海の激しい挫折と、そこからのある人物との出会いと復活、なんだか煩雑にあちこち散らばっていたストーリーや人物がラストバトル(?)に向けて一気に収束していく感じがたまりませんでした。


もちろん、暦作りという大偉業に挑む男たちのプロジェクトX的なドラマとしてもすごく興味深いのですが、それ以上に少年漫画的な燃える展開に胸を熱くする私がおりました。とてもおもしろかったです。


ではまた。