すりきり一杯

友達かつ現在の料理の師匠が和食の基本となる味付けを教えてくれるといいまして。


これまで私の料理はいわゆる男の料理で、砂糖というものをほとんど使いませんでした。本や料理番組などを見て作ることもありましたが、砂糖大さじ二杯などと出てくるとそんな甘いもの食えるか、と全く入れなかったりほんのちょっぴりだけ入れたりなどで、出来上がりもまあこんなもんだろうと満足していたのですが。


師匠が目の前で作るきんぴらにはびっくりするほどの砂糖が投入され、ああやっちゃった。そんなのうまいわけないだろう、とおそるおそる味見してみたところ、思わず「あっ!」と声が出てしまいました。


これこそが私が出したくて出せなかった味だ!


おどろく私に師匠はにやりと笑って一言、


「うまみとはつまり甘みなのだよ浪漫堂」


ひゃあ、参りました。それ以来私の料理は大きく変わりました。砂糖、酒、醤油、みりんで味付けする和食のまあ奥深いこと。
肉じゃが、蒲焼き、しょうが焼き、ビバ!甘み!ブラボー!うまみ!(今気づいたのですが、本当にうまみ、を変換すると甘み、とでます。)


古本屋のブログで何を言っているんだろう、という感じもありましょうが、まあ聞きなさい。つまりは人生も同じ、スパイシーなもの、刺激的なものばかり求めていてもそれは生きる上での楽しみの中のごく一部、表層的なものをなぞっているに過ぎないのです。
本質的なものはそんなところには無い、酸いも甘いも辛いもかみ分けてこそ味わえる深みというものがあるんですよ。


なんてことを言いたいわけでは全然無く、ただ年とって味覚の好みが和食に寄ってきたなあということと、おいしいものが自分で作れるようになって良かったなあ、といったところです。


今夜もじゃがいも煮ようかのう。


ではまた。