追悼

中学時代、初めて仲間と自分の好きな本について語ることの楽しさを知った頃。
初めて古本屋というものが自分の住む田舎町のはずれにあることを知り、その仲間たちと自転車を一時間以上漕いで探しに行った本は北杜夫さんのどくとるマンボウシリーズでした。


その過激なまでにはっちゃけたユーモアと垣間見える確かな知性と暖かさに、子供向けの物語を卒業しようと精一杯爪先立ちしていた我々はえもいわれぬ衝撃を受けました。
本の世界とはかくも豊かで懐広く、それでいてこんなに優しいものなのか!


当時はブームも一段落しており、田舎の小さな新刊本屋には在庫が無かったズラリ並んだ紺色の背表紙に、仲間みんなで宝物を見つけたかのように狂喜乱舞したことを今でも覚えています。


私の古本人生の幕開けであり、確かにその流れの先に今の古本浪漫堂があります。


マンボウ先生ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。