古本浪漫堂夜話

先日、飲みの席で友人に『ドラゴンボール』ってどんな話か教えて。と頼まれてしばし頭をひねってしまいました。


当時全盛期だった少年ジャンプでの連載開始から時には胸を躍らせてラストまで付き合った作品ではあったけれど、コミックスを買うほどのファンでもなく、その時読んだままの記憶しかありません。


「確かなあ、山の中にしっぽの生えた少年が住んでるのよ。なんかしっぽで魚釣ったりワイルドな生活をしてるんだ。そこへ七つ集めると願いのかなう不思議な玉を捜している女の子がやってきてだなあ」
「うんうん、それで?」
「それで、二人でその玉を捜すたびにでるわけだ。なんだか豚の妖怪とか青いチビの宇宙人と闘ったりとか、ギャルのパンティがどうとか、あと桃白白ってのがいてなあ・・・」


まあ、こんな感じで記憶を探りながら話をしていたわけですが、だんだん眠りにつく孫におとぎ話をしているおじいちゃんの気持ちになってきました。わからないところは適当に作りながらのいわば『口伝ドラゴンボール』です。


すべての本が焼き捨てられたブラッドベリィでリベリオンな地球で焚き火を囲みながらもはや最初の原型をとどめていないドラゴンボールを語る最後の老人に私はなりたい、いやなりたくはないけれど。


「おじいちゃん、おはなしのつづきしてよ」
「そうさのう、どこまで話したかのう」
「ほせめんどーさにまけてしついのどんぞこにおちこんだごくうがなぞのびじょにたすけられたところまでだよ」
「そうじゃったのう、雪原をさまよっていたゴクウは謎の美女メーテルに助けられ銀河鉄道のパスをもらうんじゃ、二人はわんぴーすというお宝を目指して星から星への旅をはじめるんじゃが、そこへ宇宙海賊ドーラ一家が襲ってきてメーテルをさらってしまうんじゃ、積年の血の因縁にピリオドを打つべくゴクウはついに禁断の石仮面を手に取る。ドドッドドッドドッ!」
「すげえやじいちゃん!」
「ゴゴッゴゴッゴゴッ!バ・ラ・モンッ!」
「かっこいいぜじいちゃん!   じいちゃん・・・あれ?  じいちゃ・・・、じいちゃーーーーん!!」


つづく。


いや、つづきませんたら。


ではまた。