奥田英郎「サウスバウンド」

雪降るってかい?ゆるくないねえ。

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

自分にとって久々の奥田英朗の長編小説、わくわくしながら読み始めましたが案の定夢中になって上下巻いっきに完読。いやあ、おもしろかった。


あいかわらずの奥田節、どうにもならない状況に追い込まれる主人公のあせりがそのまま読者のどきどき感につながります。ジェットコースターのようにトラブルの連鎖に振り回されるキャラクターたちは「最悪」「邪魔」でおなじみのものですが、加えて今回は主人公の父である元学生運動の伝説の闘士をはじめ、非常にキャラクターが魅力的でした、と、言いますかこのお父さんがすべてですなあ、この本は。


ラストに向けて家族がひとつになっていく過程がちっとも不自然じゃないのです。そうだよなあ、すばらしい、ぱちぱち、と思ってしまうのです。私は感動屋なのですが、軽くうるっと来てしまいました。


よくある話っちゃあそうなんですが、とにかくこのめちゃくちゃな父親をすばらしい!と、思わせてくれる力技に参りました。この読後スッキリ感はたまらんです。


多少、島の住人たちの描き方が類型的な感じもしましたが、まあ、でも行ったことないし、正しいのかも知れないです。とにかくおすすめ。


映画はトヨエツかあ?いんでないかい。


ではまた。