X・Y・Z

雪が降ったり雨が降ったり。

Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Zの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

「Yの悲劇」は読んでいたんです。四部作ということも知らなかった少年時代に。
あの意外な犯人像とパズルを組んでいくかのような緻密な謎解きにしびれていたく感心したものでしたが、ミステリ好きの友達にX,Zというものがあり、しかもその二作はYにはおよばない、ということをしたり顔で吹き込まれ封印していた作品だったのです、個人的に。


で、読みました「Xの悲劇」おもしろかったです。
「Y」を読んでいた時にはあまりピンと来なかった名探偵ドルリー・レーンのいかしたかっこよさ、いや、なんかすかしてるんですけどね、もったいぶりすぎだし、その割には事件防げてないし、でも良いんです、いかしたジイサンなんです。

ラストの謎解きも非常に気持ちよく、派手さは無いものの上質の論理ミステリを楽しむことが出来ました。まあ、何箇所か無理のあるトリックについてはご愛嬌ということで。


で、その勢いで「Zの悲劇」4部作の中では継子扱いのこの作品、そりゃあ、覚悟して読みました。
いきなり語り手のサムの娘ペイシェントには驚きましたが悪くは無いです。続けて読んでいるこちらとしてはむしろこれぐらい思い切った変更があったほうが入り込みやすい、なかなか時代を考えるとぶっ飛んだ娘なんじゃないんでしょうか?ベッドでタバコぷかぷかやったりしちゃいます。


反面レーンはすっかり元気が無く、遅々として進まない事件解決に比例してどんどんしょんぼりしていきます。事件自体も政治やら選挙やらがからんだり、死刑制度に対する是非を問うてきたりなかなかもどかしい、なるほど人気無いのもわかります。


ともあれ私はペイシェンスちゃん萌えでラストまで行きましたよ。直前に読んでいたマンガのおかげで私の脳内ペイシェンスちゃんは鶴田謙二の描く肉感的な女探偵でした。


つまらなかったわけではないですけどキレが悪いですねえ。謎解きもなんだか消去法みたいで後味が悪い。あれならもっと早くわかってもいいんじゃないでしょうか?まあ、そうなるとラストに向けてのリミット勝負的なドキドキ感が無くなってしまいますからねえ。


個人的にはシンポ教授の解説が本編より面白かったです。こんな大家の本格ミステリであの人のパロディはありなのでしょうか?これも継子Zだから許されるのでしょうか?


さあ、次は「最後の事件」だ。


ではまた。