妄想特急
今日は少し暖かいようです。屋根から雪がドッカンドッカン落ちています。
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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この作品は十代の終わり頃何も知らずに手に取り、衝撃のあまり読み終わったそばから再び読み返した一冊であります。返す刀で既刊の法月作品をすべてむさぼり読み、以来今までずっと法月中毒状態です。
同じ症状の人は多いと思います。漫画家のキクニさん曰く「リンタローは寝て待て」だそうです。
何度も読み返したとはいえトリックや、主要な登場人物などは覚えているものの犯人までは忘れてるわ、と、思いつつ読み出しました、まあミステリを読む上ではそっちの方がいいよなあと。
それはともかくやたらと鼻に付くのが、主人公をはじめ、どいつもこいつも青臭いニヒリストなわけで、でもあのころは僕もこういうのがかっこいいと思っていたんだよなあ、まるで神経症のヤドクガエルのように・・・。
ところが読み進めるうちにそんなことも気にならなくなってきました。
当時から論理的に詰めて詰めて解いたはずの謎をはずしまくるリンタロー節は全開で、伏線もバリバリに張ってあり、一瞬たりとも気を抜けない構成になっております。
最後の大どんでん返しの根拠がやや弱い気がするものの、今読めばなるほどそのためのあの思わせぶりなラストだったのね、と納得してしまいました。
結果としてハードカバー500ページ近くを読み終えてすぐ、手持ちの文庫版も最初から読み返してしまいました。文庫版のほうがラストがややわかりにくくなっており、それもまた逆に余韻と謎を深めていて良いなあ、とも思われます。
当時の十代の自分はこの本を青春小説としても読んでたんだろうなあ、主人公の友達やヒロインなんかを自分の周りの人間に置き換えたりしながら・・・・・・かゆいですなあ。
最近出たノベルズ版の方はこれにさらに手を加えてあるとか。なんだかうれしいやらうれしいやら・・・。
「十角館完全版」とか「占星術完全版」とか、結局大好きな作品は出ると読んじゃうんだからもう。
「続孤島の鬼」とか「大長編パノラマ島奇談」とか、「芋虫冒険編」とか考えただけでもう・・・。
妄想おわり。
ではまた。