風野潮「ビートキッズ」

ようやく真冬を抜けたのか?、いやまだまだ寒いですが・・・。


ここんとこミステリづいておりまして、今もクイーンと島田荘司を掛け持ちなどしているのですが全く関係ないこの二冊、一気にいってしまいました。

ビート・キッズ―Beat Kids (講談社文庫)

ビート・キッズ―Beat Kids (講談社文庫)

ビート・キッズII―Beat KidsII (講談社文庫)

ビート・キッズII―Beat KidsII (講談社文庫)

「ドラムの響きは、俺の心の、花火やねん!」英二が叩く。七生が打つ。二人の大阪少年が16ビートで笑って泣かせる! 中学のブラスバンド部を舞台に炸裂する青春を、大阪弁のリズムに乗せて、涙と笑い、てんこ盛りで描いた「パーカッション新喜劇」。児童文学新人賞三賞独占の傑作を、ついに文庫化!ビートキッズ裏表紙より。


スポーツやら音楽やらのいわゆる天才少年と、仲間たち、友情、淡い恋、挫折と衝突、殴り合い、涙と汗、ああもう、マンガにしろ、映画にしろ、小説にしろ、挙げればきりがありませんなあ、このテーマ、傑作と言われるものを挙げるだけでも十や二十、すぐに出てきそうですが、弱いんですわたし、この手のものに・・・じゅんっ! ときちゃいました。


いっき読みでしたが終始なみだ目でした。主人公の中学生英二は、いろんなものを抱えている苦労人なんですが基本がアホという設定のため、いろんなものに気づかない、それゆえ仲間や家族のいろんな面を見るたびに実に素直にそれを受け止めていちいち成長するのです、くっさい台詞もアホゆえのまっすぐさでちっとも嫌味にならず、おっさんの涙腺をゆるゆるにさせてしまうのです。


全編大阪弁で語られることによるスピード感も魅力ですが、アホによって語られた物語と言うところもこの作品の成功のひとつのポイントであると思います。実際主人公にふりかかる運命はかなり過酷で、本気で胸を痛めるシーンも多いのですが、読後はさわやかで月並みではありますが元気をもらえた気がします。私は音楽的素養は全く持っていないのですが行間から本当にビートを感じてしまいました、すばらしい。


伊藤たかみさんの「ぎぶそん」もロック少年少女のお話です。こちらも傑作です。


ではまた。