酒とガチャポンとミステリ

しばらくぱっとしない天気が続くようです。

読んだのはけっこう前ですし、ミステリとしてはあまり評価はできないなあと思ったこの作品ですが、なぜにこのタイミングで紹介しようと思ったのかと言いますと、これが本邦初の、いや、世界初であろうお酒のガシャポンミステリであるからです。


密室に閉じ込められたそれぞれワケありの男女と、ひとつのガシャポン、しかもその中身はあらゆるお酒のミニボトルなのです。なんてステキな状況でしょう!

まあ、ミステリなんで死体が転がり出てきたり、謎解きなんかもあったりするわけですが、そんなことより、酔いが回るたびにコインが入れられ、無秩序に酒を転がり出させるガシャポンにしびれました。


子供の夢の結晶であるガシャポンカプセルに、大人を夢に導くお酒を封入するというこのワンアイデアだけでこの作品は前代未聞の酒ガチャミステリとして語り継がれていってほしいなあ。別にこの機械がなくても話は成立しそうなぐらいの無駄っぷりがまたたまりません。


こういったキャラクターが推理もできないくらいに酩酊していくミステリも大好きです。西澤さんの「麦酒の家の冒険」も楽しかったなあ、浴びるほどビールを飲んでく描写が。しかもタダで。ミステリとしてはあんまりあれだけど・・・。


歌野晶午さんの「安達ヶ原の鬼密室」もガシャポンが出てくるミステリです、実は。
でもメインの話には関わってこないからなあ、ミステリとしてはこっちの方がおもしろいけど酒も出てこないしなあ・・・。


なお、私の田舎ではあの機械を「ガチャガチャ」または「ガチャポン」と表現しておりました。


ではまた。