本屋大賞2008

毎年わりと楽しみにしている本屋大賞の発表がありました。


大賞『ゴールデンスランバー
著/伊坂幸太郎

2位 『サクリファイス
著/近藤史恵
3位 『有頂天家族
著/森見登美
4位 『悪人』
著/吉田修一
5位 『映画篇』
著/金城一
6位 『八日目の蝉』
著/角田光代
7位 『赤朽葉家の伝説
著/桜庭一樹
8位 『鹿男あをによし
著/万城目学
9位 『私の男』
著/桜庭一樹
10位 『カシオペアの丘で』
著/重松清


実は読んでいました。「ゴールデンスランバー


伊坂さんの作品は、読むたびにこれは面白い、と思うのですが、なんとなくすかした感じが気に入らん、と思う自分がいたりして素直におもしろいと言えない、そんな作家さんであったのですが、いやいやこれはごめんなさい、抜群におもしろかったです。
たくさんの人物の視点や会話による展開が、なんとなくこれまでははぐらかされているイメージがあったのですが、この作品の場合はストーリーの主軸がきっちりぶれずに通っているため、緻密にちりばめられたそれらがひとつに収束していく過程が非常に気持ちよく実に密度の濃い満足感をきっちり与えられた気がします。


実際読んでいる間は常に作品のことが頭にあり、まるで主人公とともに逃亡しているかのような感覚は子どものころの怪盗ルパン的な冒険小説を読んでいた時の感覚、まさにドキがムネムネな感じを思い出させてくれました。

何よりすかしているなんてとんでもない、非常にロックであり、男気があり、なおかつあたたかい作品でした。


ヒルと鴨も重力ピエロも陽気なギャングも好きですが頭ひとつ抜け出ている気がします。すばらしい。
なんとなく賞には嫌われている作家さんのような気がしたので、良かったですねえ。おめでとうございます。


他の作品では「サクリファイス」が気になっていますので読んで見たいと思っています。近藤さんは初期のミステリを何冊か読んだだけですが、その時はあまり感心もしなかったもので、おもしろかったらうれしいなあ。


私にとって本屋大賞の意義は、あまり知らない作家さんの意外に面白い作品を知ることができる、ということなのですが、そういう意味では今回は評価の定まっている作家さんが多く、やや面白みに欠けるなあ、と言うのが正直なところです。


ではまた。