近藤史恵「サクリファイス」

サクリファイス

サクリファイス

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。

勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。


2008年度本屋大賞第2位の作品です。

おもしろかった。これも一気読みでした。
自転車競技という特殊な世界が舞台であるものの、その魅力を十分伝えた上で、まさにその世界だからこそ起こり得る事件という意味では唯一無二の作品を作り出しており、準大賞というのもむべなるかな、という気がします。


ミステリとしてみても、わりとあからさまなミスディレクションの方向性が、ただ単に読者の目を欺くと言うだけではなく、キャラクターの人間性までをもひっくり返し、読後に軽い感動を覚えさせるという点では実に鮮やかな一冊です。


ただ、私の好みとしましてはややあっさり過ぎるかなあ、と、それから、未練たらたらだったはずの元恋人はいいのか?ほんとにお前はそれでいいのか?と、余計なお世話を考えてしまいました。


このあと乾くるみさんの「リピート」も控えているのですが、ミステリはすこしお休みしようかと思っています。なんだか不感症になりそうなんで。


今は毎晩寝る前にコリン・ウィルソンの「世界不思議百科」読んでいます。すごくおもしろい上に非常に良く眠れます。アトランティス大陸のことを考えながら眠るのって最高です。さすがはこりん星人ですなあ。


ではまた。