侵略者を撃て!

「トリポッド1襲来」

トリポッド 1 襲来 (ハヤカワ文庫 SF)

トリポッド 1 襲来 (ハヤカワ文庫 SF)

ぼくとアンディがサマーキャンプに参加していた時、とんでもない事件を目撃した。20メートルをこす巨大な三本脚の物体が現われて農場を破壊し、近づいてきた戦車をひねりつぶしたんだ!結局は戦闘機のミサイルであっけなく破壊されちゃったけど、この謎の物体は、イギリスだけじゃなく世界各地に飛来していたらしい。でもこの事件は、異星からやってきた“トリポッド”の、地球への侵略の第一段階にすぎなかったんだ。 裏表紙より


子供のころから侵略SFは好きでした。トリフィドとか、宇宙戦争とか、盗まれた街とか、震えながら読んでは必ず悪夢を見ておりました。

そこでこの作品、のしのし歩き回る巨大宇宙ロボトリポッド自体はむちゃくちゃステキなのですが、実際はたいして暴れまわるわけではなく、せいぜい壊すのは民家ぐらいだったりして展開自体は地味なのです。ところがその侵略の手順が今風といいますか、なんだかどこかの宗教団体がやっていそうないかにもな方法で非常にリアリティを感じます。


一巻ということで今のところは敵の正体も何も解らぬまま、普通の人たちが洗脳され、主人公たちがじわじわとマイノリティになっていく恐怖をたっぷり堪能できました。

おもしろかったなあ、子供のころは文体がどうの、展開がどうのなんてことは全く考えずにどっぷり物語にはまっていたものなあ。
36年間無駄にいろいろ読んではきていますが本当の読書の楽しさはあのころに置いてきてしまったものなのかもしれないなあ、なんてことをしみじみ思ってしまいました。

西島大介さんの表紙も、可愛らしいのにわりとハードな内容にはぴったりな気もします。挿絵もずいぶん入っていてなんだか楽しんで書いているのが伝わってきます。


今日から二巻目を読み出します。一日一殺、じゃなくて一冊読める手軽さが良いなあ。
今の私にはSFはこれぐらいの密度がちょうど良いです。


ではまた。