「トリポッド2脱出」

トリポッド2脱出

トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF)

トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF)

トリポッドが世界を支配するようになってから、およそ百年。みんなはキャップをかぶり、平和でのどかな生活をおくっている。でも、ほんとにこれでいいのだろうか?戴帽式を間近にひかえ、そんな疑問で頭をいっぱいにしていたぼくは、ある日一人のはぐれ者から驚くべき話をきいた。トリポッドは異星からの侵略者で、海の向こうの白い山脈には自由な人々がいるという。ぼくはいとこのヘンリーとともに、自由を求め旅に出るが!?裏表紙より


驚きました、いきなり百年も経っている!
あれだけ、感情移入していたアンディもローリーもアンジェラもマーサばあちゃんも、そらもういるわけもなく、しかも彼らはがんばっていたのに、どうやら地球はすでにトリポッドの手に落ちているなんて・・・。


人類はトリポッドのおだやかな支配により、文明こそ衰退しているもののなにも疑問を持つこともなく平和な日々をおくっています。
子供たちは14歳になるとトリポッドにより頭にキャップをとりつけられ、それにより思考を制限され、トリポッドにとっての秩序が守られているということのようですが、この辺はやがてあきらかになるであろう、トリポッドの目的とも関わる部分であり、今の段階でははっきりしてはおりません。
前回、トリポッドを宇宙ロボと書きましたが、よく考えるとそのへんも実はわかっていません。宇宙人の乗り物なのか、遠隔操縦されているロボットなのか、あるいは宇宙人そのものなのかすらわかりません。


主人公ウィルは、キャップをつけられることを拒み、自由を求めレジスタンスの住む山脈へと旅立ちます。
なにしろ、基本大人が全く頼りにならない世界なので二人の旅は困難を極めます。途中、捨て去られた文明の遺跡を探検する場面などはそういった背景とあいまって「漂流教室」を彷彿とさせます。目的も正体もわからぬままうろついているトリポッドの不気味さもそういえば楳図的かもしれません。


トリポッドの謎だけではなく、少年たちの関係も実は単なる仲良しグループではなく、いろいろと複雑なものがありどうもモヤモヤとした部分が多いのですが、そういった部分も作品の魅力であると思います。
私は基本的にがんばっている少年モノには弱いのですが、それだけではなく子供ならではの思惑などが実にリアルで好感が持てます。


大満足の二巻をあっという間に読み終え、現在三巻目を読みはじめたところなのですが、これもまたおもしろい、なんだか読み進めるのがもったいなくなってきました。なにより最終巻4巻は持ってないのです。休みの日に本屋を回ったのですがありませんでした。


この本おもしろいのに、もっと売れろん、モットクレロン。


あとトリフィドも復刊希望。


ではまた。