『マルドゥック・スクランブル』感想
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/07
- メディア: 文庫
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いやあ、おもしろかった。
2巻中盤からラストまではほぼ一気読みでした。この本は全3巻となっておりますが実質は1冊の長編ですね。
圧巻なのはカジノでのギャンブルシーン、阿佐田哲也か深夜特急の大小ばりの駆け引きと緊張感、久々に手に汗を握りながらの読書を体感しました。
しかし、この作品の白眉は実質数十ページしかない実に濃密なラストのアクションでしょう。ここまでの全ての事象を内包した作品的説得力に満ちた悲しくも必然の闘い。三人の魂が血を流し、涙を流す。
今となっては使い古された感のある、「自己の存在をかけた闘い」というものをこれだけ説得力のある作品に仕立て上げた力量に素直に感動しました。共に苦手分野であるサイバーパンクでハードボイルドな(実はよくわからないのですが)世界観をこれだけ楽しませてくれるとは天晴れです。
しっかし、ネズミ、最後までかっこよかったなあ、ネズミよう。
ではまた。