怖い話

先日あるお客さんに「しょこたんがテレビで言ってた、おすもうさんが追いかけてくるっていう怖いお話ってあります?筒井ナントカさんの」と尋ねられまして、筒井さんの『走る取的』ですなあと、すぐにそれの入っている短編集を探してあげることができたのですが、なんともしょこたんさんは実に可愛らしくていろんなところにアンテナを張り巡らせている良かおなごじゃのう、と思います。忙しいのにねえ。


そう言えば取的なんて言葉はこの作品で覚えましたが、それ以来現在まで、この作品以外でこの言葉を使っているものに一切出会った覚えがありません。あえて一般的ではないこの言葉をこの不条理かつ恐ろしい短編につける筒井御大のセンス恐るべし。『走るお相撲さん』でも『走る関取』でもないところ。


個人的には筒井短編でもっとも恐ろしいのは『顔面崩壊』と『お助け』です。前者は思い出しただけでも鳥肌が立つ生理的嫌悪感で読むものを無間地獄に突き落とし、後者は誰もが思い描く夢の超能力が引き起こす最悪最恐の結末に戦慄が走ります。みし、ぴきっ、ぽきっ・・・。


ではまた。